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かながわ未病改善Q&A

Q9:神奈川県みらい未病コホート研究は「未病改善」にどう関わっている?

神奈川県みらい未病コホート研究は前回のQ8でお伝えした通り、研究参加者らの血液検体から遺伝子の情報(ゲノム)を調べる「ゲノムコホート研究」です。生活習慣に関するアンケートも行い、ゲノムと生活習慣が病気の発生にどのように関わっているのかを長期的に調べていきます。それだけにとどまらず、研究チームでは、コホート研究を基盤にした様々な予防医療、未病改善に関する研究にも取り組んでいます。

その一例が、コホート研究のデータから開発した「疾患リスク予測アルゴリズム」を活用した高血圧・肥満予防への取り組みです。アルゴリズムとは、ある問題を解決する際の処理手順のこと。これを活用することによって、「高血圧になりやすい順位で、100人中あなたは〇番目です」という、病気のかかりやすさ、リスクの高さを情報として把握して、それを参加者の方にフィードバックすることができます。単にリスクを伝えるだけではなく、参加者の方々がその結果をどのように未病改善に生かしたらいいのか、保健師さんにもチームにかかわっていただき、生活習慣のアドバイスなども行っています。


研究責任者・成松宏人による市民への講座も

もう一つは、肥満へのアプローチです。近年、肥満に関係する遺伝子や、肥満と食事の関係が少しずつ解明されてきていることから、こうした情報を民間企業のRIZAPグループと共有して、一人ひとりの体質に合った、新しい肥満予防プログラムを作るための共同研究を進めています。

また、コホート研究の基盤を使った介護予防の研究も進めています。サイバーダイン株式会社のロボットスーツで、腰に装着するタイプの「HAL」を活用して、フレイル(虚弱)、プレフレイルと診断された高齢者に対して、有効な介護予防プログラムを開発しようというものです。
健康アプリの一つ、習慣化アプリの「みんチャレ」を使った共同研究も行っています。このみんチャレ、5人で一つのチームを組んで、毎日写真やメッセージの投稿を通じて励まし合いながら習慣を続けていきましょうというアプリ。「歩く」ことを習慣化したいチームで、実際にどのぐらいウオーキングを継続できるのか、歩数や健康への影響などを調べていくという研究です。最初に神奈川県の職員を対象にテストを行ったところ好評だったので、現在はコホート研究に協力いただいている県民の方に対象を広げて、参加を呼び掛けています。

このようにコホート研究では、県民の健康づくり、未病改善に役立つ新たな知見の解明に向けた様々な取り組みに挑戦しています。

監修:成松宏人  構成・文:一般社団法人ハイジアコミュニケーション
※神奈川県立保健福祉大学・2022年度ヒューマンサービス公開講座(春期)の講演録をもとに構成

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