挑戦的な取り組み
神奈川県みらい未病コホート研究は、コホートを基盤にしつつ、
予防医療介入も同時に行う挑戦的な取り組みを行っています
神奈川県みらい未病コホート研究は、長期間にわたり、神奈川県内の多くの住民を観察、追跡することによって、生活習慣や体質(遺伝子)などの要因と病気の発生状況との関連を調べるゲノムコホート研究です。
ゲノムコホート研究+介入研究
→ ハイブリットゲノムコホート
従来のコホート研究とは異なり、コホートのプラットフォームを活用し、最先端技術を使った予防医療介入を行う先進的かつ挑戦的な取り組みを行っています。このような“ハイブリットゲノムコホート”研究は、日本でも例がない新しい研究アプローチです。コホートに介入研究を組み合わせることによって、政策や制度といった形で、研究成果をより短期間で社会に還元できる可能性が期待できます。
現在、神奈川県政策局いのち・未来戦略本部室担当部署のサポートを得ながら、民間・アカデミアの連携により、未病改善を社会実装につなげるためのプロジェクト
未病へ未来図(ME-BYO & ME-RISE)
プロジェクトが進んでいます。その一例をご紹介します。
ME-RISE<1> ヘルスケアロボットHALを活用した介護予防プログラムの開発
サイバーダイン社のヘルスケアロボットHALの腰タイプを活用して、フレイル、プレフレイルと診断された高齢者に対して有効な介護予防プログラムを開発するための研究です。2019年には、20例を対象としたパイロット研究として、湘南ロボケアセンター(株)、慶應義塾大学、神奈川県立保健福祉大学ヘルスイノベーション研究科、神奈川県立がんセンターとの共同研究がスタートしました。翌2020年から実施したランダム化比較試験の結果も2024年8月にExperimental Gerontologyにて公開されています。
・2022.10.4 関連研究のプレスリリースを行いました。
・研究成果については研究成果のページをご参照ください。
・臨床試験登録情報:UMIN000037911、UMIN000042352、UMIN000048939
ME-RISE<2> 未病指標をヘルスケアに活用するための実証研究
ME-RISE<3> スマートフォンアプリ「みんチャレ」を活用した健康行動に関する研究
エーテンラボ株式会社のデジタルピアサポートアプリ「みんチャレ」を活用して、地域住民に健康行動の継続を促すことができるか、また「みんチャレ」が心身の健康状態の改善にどのように寄与するかなどを評価することが目的の研究です。デジタルピアサポートによる行動変容や臨床学的数値の改善、心理的・社会的指標の変化等への有効性について科学的に証明できれば、デジタル技術を遠隔での保健指導に活用する等の社会実装を通して、社会に貢献することが期待されます。
・2022.2.24 研究に関するプレスリリースを行いました。
神奈川県立保健福祉大学からのプレスリリースはこちら。
みんチャレを開発するエーテンラボ株式会社からのプレスリリースはこちら。
・臨床試験登録情報:UMIN000042520、UMIN000046936
ME-RISE<4> 高齢者の健康寿命の延伸に寄与するリハビリテーション戦略の開発に向けた調査研究
神奈川県立保健福祉大学保 健福祉学部リハビリテーション学科 平瀬達哉准教授の研究室との共同研究。高齢者の健康寿命の延伸に寄与するリハビリテーション戦略の開発につなげることを目的に、高齢者の心身機能を多面的に評価し、転倒・骨折、フレイル、認知機能低下の発生を予測する因子について検討するとともに、高齢者の運動器疼痛と転倒・骨折、フレイル、認知機能低下との間を媒介するそれぞれの因子についての検討などを行います。
・平瀬研究室のホームページはこちら。
ME-RISE<5> 無症候性心房細動の早期発見システムの実証研究
心房細動は高齢化に伴い予防対策の重要性が増している疾患の一つですが、初期の発作性心房細動は “隠れ心房細動”と呼ばれることもあり発見や診断が困難とされています。その一方で、診断されている心房細動と隠れ心房細動とは潜在的なリスクが同等であることから、予防対策が重要です。本研究では、東京医科歯科大学循環制御内科学分野にて開発された“隠れ心房細動”検出システムを神奈川県みらい未病コホート研究と組み合わせ、社会実装の可能性についての検証を行います。
ME-RISE<6> 生活習慣と認知機能に関する観察研究 Lifestyle and Cognition Observational Study in Kanagawa (LISCK Study)
世界に先駆けて急速な高齢化社会に直面し、超高齢化社会を迎えている本邦での認知症対策の重要性は増す一方で、認知症に対する根治的治療薬や予防的薬物及び非薬物介入は存在しないのが現状です。認知症の多くの病型に共通する危険因子として、最大の要因として年齢がありますが、家族歴、高血圧、糖尿病、肥満といった生活習慣病も同様に重要な要因です。これらの既知の危険因子に加え、本研究ではJ-MINT prime神奈川研究(研究代表者:小田原 俊成)と協同し互いの知見を組み合わせることで認知症予防に資するエビデンスを創出することを試みます。